【書評】「究極の英語学習法K/H System (入門編)」

本の特徴

究極の英語学習法
K/H System (入門編)

国井 信一 , 橋本 敬子

究極の英語学習法K/H System (入門編)
  • オススメ度:(満点)
  • 対象   :中級者~

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  • 8分程度のスピーチを使って徹底的にトレーニングする硬派なシャドーイングの本
  • 「英語理解の正しいフォーム」を身につけることが目的
  • シャドーイングは「音」と「意味」の側面に分けてポイントを意識しながら進めていく
  • 同時通訳者である著者2人の講義CDを中心に学習できるようになっている

同時通訳者である国井信一氏と橋本敬子氏によるテキストです。

入門編となっていますが、レベルは高めです。
TOEICなどの試験で高得点を取っている人でも学ぶことが多い内容になっています。

内容は、8分程度のスピーチを使って徹底的にシャドーイングのトレーニングするという、
とてもとても硬派なものになっています。
最初に読んだときは、1つのスクリプト対してここまでトレーニングするのかと驚きました。

ちなみに私はこの本が大好きです。
私自身この本に取り組むことで、英語力の伸びを実感できましたし、日本で英語を学習する人には、ぜひ取り組んでほしいと思うテキストです。

この本のトレーニングのイメージとしては、野球のバッティングフォームを固めていくように「英語理解のための正しいフォーム」を身についていくという感じです。

スポーツでもそうですが、一度、英語の正しいフォームを身につける事ができれば、その後の英語学習の効率が良くなっていきます。

具体的には、英語を「音」「意味」の側面に分けてトレーニングをしていきます。
まず、英語の「音」「意味」についてその特徴、シャドーイングで意識するポイントを理解し、その感覚をトレーニングで具体的に身につけていけるようになっています。

私もそうでしたが、日本人は英語学習に関して知識偏重になりがちな傾向があります。
難しい単語や文法には詳しいけれど、リスニングに関しては簡単な英文が聞き取れなかったり、TOEICなどの点数は取れるけれども、生の英語がなかなか聞き取れないとう人の話もよく聞きます。

英語はスポーツのようなものです。
「知識」だけも持っていても、読んで、聞いて、書いて、話せるようにはなりません。

本書はそういった「知識」を実際に「使える」に変えるトレーニング法です。

本書のCD音声には、著者2人の掛け合いで進む講義が収録されています。
講義はとてもわかり易い内容で、シャドーイングなどの訓練法も実演され、音声を中心に学習できるようになっています。

本のポイント

1.音と意味の側面

  • :正しい発音やリズム
  • 意味:文法や構文、論理展開

本書では、「音」「意味」の側面に分けてトレーニングが進んでいきます。
英語は「音」「意味」の側面でそれぞれで、日本語と全く異なります。

そういった英語と日本語のギャップ、より具体的には、「音」に関してはそのメリハリのあるリズムを、意味に関しては日本語と違う語順をより大きなカタマリで意識する必要があります。

本書では、そういった英語の特徴が解説され、それを踏まえたトレーニングができるようになっています。

2.音の側面

日本語と英語はリズムが大きく異なります
英語の「音」の側面に関して、本書では以下のような特徴がまとめてあります。

日本語と英語のリズムの違い
  • 日本語「シラブルタイミング」の言葉
    日本語は音節(=シラブル:母音のカタマリ)にほぼ均等にストレスが入り、同じ強さで発音される
  • 英語「ストレスタイミング」の言葉
    英語はストレスが入る単語、音節とストレスが入らない単語、音節があり、この強弱により、波を打つようなリズムが生まる

この日本語と英語のリズムの違いから、私達は英語を捉えるとき以下のポイントを意識する必要があります。

  • 英語は日本語に比べて音節(母音のカタマリ)が少ない
    余計な母音を入れない
    ◎例
    マクドナルドは6音節(日本語は子音と母音がセットで発音)
    Mc・Do・nald’sは3音節
  • 英語は、ストレスが入って、はっきり発音する単語・音節とあいまいに発音する単語・音節がある
    日本語は、各音節をほぼ同じ強さで発音する
    強弱のメリハリを意識する
    ◎例
    マ・ク・ド・ナ・ル・ド→ほほ同じ強さで発音
    Mc・Do・nald’s→「Do」の音節にストレス。子音からしっかりストレスが入り、母音がはっきり、発音されている。
    「Mc」「nald’s」→力を抜いて、母音はあいまい母音で発音される。
  • 文単位で見ると、しっかり発音される単語(内容語)とあいまいに発音される単語(機能語)に分けることができる。
    機能語は弱形で発音される場合が多い。
    リズムが弱になるところが、日本人が聞き取りで苦労する
    例 I went to McDonald’s for a quick meal.
    赤字の音節がストレスが入って、はっきり発音される
    他のところは、比較的あいまいに発音される
    ◎弱形の例
    and  アンド → アン/ン
    can  キャン → カン/クン
  • 英語の強弱のリズムの中で、リンキング、脱落、飲み込みなどが起こる
    そういった音声変化を意識するとリスニングがしやすくなる

シャドーイングでは、こういった日本語と英語のリズムの違いを意識することが大切になります。
そして、この英語のリズム感覚に慣れ、英語リスニングの受け皿を作ることが音の側面のトレーニングの目的になります。

ただやみくもに音声をまねてシャドーイングするのではなく、日本語と英語はどのように違い、英語のリズムはどのような特徴を持っているのか、その点を理解、意識してシャドーイングすることが、効果的な学習のために大切になります。

3.意味の側面

本書で意味に意識を向けたパートでは「やまと言葉落とし」について解説されています。

「やまと言葉落とし」は、英文を単語レベルではなく、より大きな「かたまり」で捉え、「要は~っていってるんだな」と、自分の言葉に噛み砕いた「やまと言葉で理解する方法」です。

まずは、テキストを自分なりに工夫して、「やまと言葉」に落とし込む、その上でその「やまと言葉」を意識しながら、何度もシャドーイングを繰り返すことにより、即座にメッセージが取れるレベルまでもっていくことができます。

やまと言葉落としの例
  • As you know, 「皆さま、ご存じのように」
    「ネ~」「~だよネ」
  • the commitment of the employee 「従業員の約束、責任、献身?」
    「従業員の絶対的やる気」「従業員の『絶対やるぞ~」という気持ち」
  • the genius of the American democracy 「アメリカ民主主義の天才、才能?」
    「アメリカ民主主義のスゴイところ」
  • Despite their recent loss of confidence, Japanese believe that they are still Number 1 in the world.
    「最近の自信喪失にもかかわらず、日本人は今でも自分たちが世界で一番だと信じている」
    「そりゃね、最近は自信なくしてるけど、でもやっぱり、日本人は今でも自分の国が世界で一番だと思っているよ」
  • The success of this company depends on our employees.
    「この会社の成功はわれわれの従業員に依存している」
    「わが社の成功のカギを握っているのは社員たちだよ」
    「ウチの成功は社員たちにかかってるんだよ」

本の使い方

講義CDを活用しながら、その手順沿ってシャドーイングのトレーニングを進めていきましょう。
リテンションやスラッシュリーディングの方法も出てきますが、基本的にシャドーイングのトレーニングを中心に進めれば良いと思います。

本書で勧められている、自分のシャドーイングの録音はぜひやりましょう。
最初は自分のシャドーイングに下手さにヘコむと思いますが(経験談)、録音を確認することでいろいろな発見があります。

まとめ

まとめ
  • 短いスクリプトを、英語の特徴を意識しながら徹底的にシャドーイングすることにより英語理解の基礎力を養えるテキスト